早智子さんが迎えに来てくれて退院した僕はタクシーから降りて、午前中は店長から鍵など色々預かって伝言などを聞いていた早智子さんと荷物を片付けた。 　と言っても荷物はほとんどないのだが……。 　そして、帰る早智子さんを見送りつつ、そのまま休んだことなどの挨拶にお店へ来た。 「へ〜ぇっ！」 　添さんと戸川にニヤニヤされ、水城には丁寧に退院祝いの挨拶をされて僕はチラッとキッチンに居る店長を見る。 「何だかんだ、店長は顔怖いだけで優しいからねぇ。ザ、長男！だしさ！」 　ホールを一通り見て添さんが笑うと、戸川も大きく頷いた。 　16時を過ぎた店内はほとんど飲み物を飲み終えてただ話をするお客様ばかりでのんびりと緩やかな時間が過ぎていく。 「ま、襲われて頭から流血の大怪我って聞いた時はびっくりしたけどねぇ……無事でよかったねぇ！」 　笑いながら撫でようと僕の頭に手を近づけた添さんの手はキッチンカウンターから伸ばされた店長の手に叩かれた。 「退院しただけで、傷は完治じゃねぇんだよ！下手に触んな」 　そんな店長と目が合って僕は何となくその顔が見られなくなる。 　ヤバいな……こんなんで僕、今日から一緒に住める??