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第14話(6)
「この美人が雅美ちゃんの妹、雪乃 ちゃんで、旦那様の信彦 くんと娘の花音 ちゃん」
早智子さんに紹介されて頭を下げると、雪乃さんは微笑みながら僕と目線の高さを合わせる。
「かなりの美少年!ってか、女の子って言われても納得のかわいさ〜!あ、気にしてる?」
はわっと口元に手をやって気遣ってくれる雪乃さんは……正直店長と血が繋がっているとは思えない。
身長は高そうだが、かわいらしさもちゃんとある笑顔の似合う美人だ。
他にもいつも野菜を仕入れているとこ、豆を仕入れているとこ、カトラリーをお願いしているところ……全てがお店に関係する人だった。
「お前が入院中、みんなが少しずつ手伝ってくれたんだ。感謝しろよ」
大皿を運んできた店長は皿をテーブルに置いてグルッと周りを見る。
今日初めて見る顔が多いが、みんな優しく笑っていて僕はとにかく立ち上がって頭を下げた。
「はいはい、堅いことはなしにするんですよね?乾杯して食べて笑って騒いでいいって……ね?」
添さんは僕の肩に手を回して体を起こしてくれながら店長に向かってウインクする。
「騒ぐのは許可してねぇ」
店長が睨んでも添さんは笑いながら店長にグラスを持たせてビールを注いだ。
「さくちゃんはまだアルコール止めといた方がいいからオレンジね!」
明るい添さんの声で僕の快気祝いと銘打たれただけのような飲み会が始まった。
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