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第14話(7)

「バーカ。んな訳あるかぁ」  とろんとした目をして添さんの頭を殴った店長。 「あーもう、お兄ちゃん!添田さんに迷惑かけないの!」  雪乃さんが添さんに謝ると、ちょうど花音ちゃんを抱いた信彦さんが歩いてきた。 「あ、私たちここで抜けてもいいかな?花音が寝ちゃって……」 「んー?」  目を細めて座ったまま雪乃さんを見上げる店長はヤバい人にしか見えない。 「いいわよ!」  店長が話し出すのを阻止して、早智子さんが店長の前に立ってその視界からも隠す。 「雪乃さん、信彦さん。わざわざ来て頂き、ありがとうございました」  僕も立ち上がって頭を下げると、雪乃さんと信彦さんは微笑みながら首を振った。 「ううん!むしろ、今日からお兄ちゃんの管理下で生活なんて息詰まらない?愚痴なら聞くからいつでも連絡してね!」 「店長と同棲とかキッツいだろー?」  雪乃さんの言葉に続くように添さんが後ろから抱きついてくる。 「添田っ!勘違いすんな!同棲じゃねぇ!同居だ!バーカっ!!」  もう止めておけばいいのにグラスに口を付けていた店長は口を離して叫んだ。  みんなは笑ってくれているが、雪乃さんは呆れたように額に手を当てる。 「本当、迷惑かけると思うけど……ごめんね。遥斗くん」  真剣に謝ってくれている雪乃さんに「この店長、かわいいじゃないですか?」なんて、言ったらどうなるのだろうか。

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