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第15話(3)
やっぱり眉を思いっきり寄せて寝ている店長。
「店長ー?お水だけちょっと飲みませんか?」
声をかけるが店長はピクッと動いて呻くだけで目は開けない。
「こんなずっと寄せてないで寝てる時くらいリラックスすればいいのに……」
眉間をなぞるとその手を捕まれて抱き込まれる。
ちょっと期待していた僕は店長の腕の中で動いてその硬い髪を撫でた。
すると、フッと力が抜けて眉間の皺もなくなって、店長の口元も心なしか緩む。
「っ!!」
その穏やかな顔はダメだ。心臓に悪過ぎる。
「そんなしっかり抱き締めてくれなくても……逃げないよ?」
呟いても、店長はその腕の力を緩めることはなかった。
温かいそのぬくもりを感じながら目を閉じる。
夢のようだ。
昨日までの病院の硬いベッドとも、僕の安い簡易ベッドとも違う大きなキングサイズのベッドで店長に抱き締められている。
もちろん、店長がそんなことをするのは酔って寝ているからだとわかる。
でも、あの避けられ続けた日々を思うと奇跡のようだった。
だから、今日はその温もりを感じて大人しく寝よう……と思うのに言うことを聞かないモノ。
1週間入院していて、さすがに一度もヌいていないソレはしっかり勃ち上がってしまった。
「今、ダメだって……」
呟いたところで言うことなんて聞いてくれるはずはない。
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