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第15話(5)
「……ヤバい。このままだとさすがに出る」
限界を感じて店長の腕を振り払おうとすると、首筋にチュッとキスをされる。
「っ!?」
思わず固まってしまうとしっかり抱き締められた。
「て……店長?」
声震えるとか……どんな初心だって思うのに、顔も店長と触れている背中もやたら熱くて仕方ない。
何で酒入るとこんな甘えてくるの?
めっちゃ不機嫌面してしっかり抱き締めてくるとか……何!!
抱き締めてるのは僕だって……わかってる?
ドキドキうるさい心臓を握りつつ、目を閉じる。
右手は下手に店長の手が触れないようにしっかり下をガードして。
「……キッツ」
呟いて視線を上げると、目に入ったのはベッドの脇にあるサイドテーブルにあるティッシュのボックス。
首を捻って店長の様子を窺うと相変わらず眉は寄せているがすぅすぅと寝息をたてている。
「……起きない?」
聞いてみても特に反応はない。
僕は再びサイドテーブルに視線を戻すと、そろりと右腕を伸ばした。
……が、あとちょっと届かない。
これは諦めるべきか、ちょっと頑張るか……。
悩むところだ。
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