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第15話(8)
風呂場から出ようとしてハッとする。
何も用意しないで入ったせいでタオルも何もなかった。
とりあえず、置いてあったバスタオルを借りて髪と体を拭くと、腰に巻き付けてそろりとドアを開ける。
店長はまだ寝てるし大丈夫……とリビングに入ると、寝室のドアが開いてあくびをしながら店長が出て来た。
固まってしまって動けない僕の前をのそのそとシャツのボタンを開けながら店長が歩いていく。
「……便所」
言いながらベルトを外してスラックスの前も開けた店長を見てゴクリと唾を飲んだ。
そりゃ、自分の家だしまだアルコールの残った身体で寝ぼけてもいるんだから気怠げに歩いていくのも仕方ないのかもしれない。
でも、そんな店長を見て僕の心臓はうるさいくらい音を立てる。
とろんとしたあの目も、シャツの裾から覗いた臍も……ドキドキはバクバクになってしゃがみ込んだ。
こんなん……生殺しだ。
手を出さないなんて……無理じゃないか?
タオルの隙間から勃ち上がったモノが主張していて、僕はもう何度目かわからないため息を吐いて部屋へとダッシュした。
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