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第16話(4)

 何とか自分の分のサンドイッチを押し込んでため息を吐いた。  大学3年の後期。  インターンシップに行っている奴も居れば、ほぼ就職内定した奴まで居る。  僕は……じっとテーブルの端を見て黙り込んだ。  正直、将来について全く考えていない訳ではない。  ナルと居たのはただ欲望を満たすためではないから。 「佐倉!お前、早めに戻って来られるか?」  奥の小窓から店長に声を掛けられて立ち上がる。  今は店長とか将来とかモヤモヤしてる時じゃない。目の前にはお客様が居て、ここはおいしい軽食と“癒やし”を提供する場だ。  スタッフルームを出る前に鏡を見つめる。  そこに居る自分に微笑んで「よしっ!」と気合いを入れた。  ホールを見回してすぐにサービストレーを持つ。 「Aの2、ドリンク持って行きますね!あ、添さん、次、Bの4、5、ドリンク出るんで先にドーナツも置いてきます!」  カウンターでサッと乗せてホールに向かいつつ、戻って来た添さんにも声を掛けた。 「りょーかいっ!さくちゃん、いい顔になってて安心だわぁ!」  ニッと笑う添さんに笑顔を返して、僕はゆったりと流れる音楽の中を歩く。  お客様と笑って、今は僕自身もその時間を楽しんで。

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