133 / 255
第16話(6)
もう止めることもできずにそのまま口を付ける。
「なっ!!」
振り払われた僕は床に尻を付けて店長を見上げた。
「合コンで会ったあの千冬さんといい感じって本当ですか?」
「あ"?」
「付き合ってるんですか?」
これでもかってくらい口を拭う店長に問うと、店長は不機嫌そうにこっちを睨む。
さっきまで流れていたらしい涙はなぜかピタリと止んだ。
「お前に関係ねぇだろ!」
怒気を孕んだ店長の叫び声を聞いて僕は腰を浮かせる。
関係ない……という言葉に軽く怒りを覚えつつ、ついさっきキスをしたことで警戒する店長を躊躇わずにそのまま突っ込んで床に押し倒した。
「バッ!!」
慌てる店長の口を勢いよく塞ぐ。
「んっ!!っ……」
ガリッと思いっきり唇を噛まれて僕は静かに顔を上げた。
店長の上に乗って両腕をそれぞれ押さえたまま怒りに満ちている店長をじっと見つめる。
「フザけんなっ!!退け!クソがっ!!」
店長は力の限り身を捩ってバタバタと足を動かした。
僕はそんな店長を思いっきり力を込めて押さえつける。
「……千冬さんがいいんですか?」
「はぁっ!?」
「あの女 とセックスしたんですか?」
「だったら何だ!!」
僕の下で暴れていた店長が思いっきり睨みながらカブせるように言ってきて……僕の中の何がブチンと切れた。
ともだちにシェアしよう!