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第17話(6)

 バイト終わりに早智子さんのお店で夕飯を食べた僕はさっさと帰宅して風呂に入った。  髪をタオルで拭きながら、ちょっと前に店長と買いに行ったソファーに座る。  テレビをつけてみても特に興味は持てなくてすぐに消した。  ここに座っていたら帰ってきた店長はまず顔をしかめる。めちゃくちゃ嫌そうに舌打ちをする……考えながら立てた膝に顔を埋めると笑えてきた。 「……早く帰って来ないかなぁ?」  思わず呟いていたことに気づいてパッと周りを見る。  リビングの時計はもうすぐ20時になるところだから、まだ店をクローズもしていないだろうし店長が居るなんてことはない。 「レポートでもやろう」  ため息を吐いて部屋に戻ったが何となく落ち着かなくて、僕はノートパソコンとテキストとかを持って再びソファーの上に戻った。  パソコンを立ち上げながらテキストを開く。  辞書を部屋に忘れたままなことに気づいて戻って英和と仏和を持ちながらため息を吐いた。  部屋でやればテーブルもあるし、辞書だってすぐ手に届く。  それなのにソファーに戻りたいのは……店長に会いたいからだ。  帰ってきて僕を見てすぐに舌打ちをするその姿を見たいだけ。 「ダサ……」  店長の吐息を思い出しかけた僕は慌てて首を振って小走りでソファーに戻った。

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