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第18話(7)

「ガチ泣きは萎えるだろ」  言葉とは反対に仕込んであったローションがぶちゅぐちゅと音がするほど僕の上で腰を振るナル。  両手はもう解放されているのに僕は抵抗することもその涙を拭うことさえできなかった。 「……お前が泣くとか初めて見たな」  しばらく好きに動かしていたナルが動きを緩めて止まる。  そのまま反応もできずにいると、両手で顔を捕まれて無理矢理顔を合わせられた。  目だけは色素の薄い茶色の瞳がじっとこっちを見てくる。 「店長……だっけ?お前の想い人」  聞かれてとりあえず頷くと、ナルはゆっくり腰を上げた。 「はっ……んっ……」  吐息を漏らしながらズルズルと抜かれた僕の屹立はガチガチになっていてぬらぬらと光っているのを見てまた涙の気配を感じる。 「だから、泣くなよ。泣く童貞を喰うのは好きだけどお前が泣くと調子狂うっての」  ナルはため息を吐いてガシガシと頭を掻いた。  僕だって頭の中がぐちゃぐちゃで何で泣けてくるのかわからない。 「……20代なんて性欲に忠実なんだから感情関係なく反応しただけだろ?……悪かったって」  ナルのそんな言葉を聞いて、僕の涙は止まるどころか更に溢れる。  僕だって泣きたい訳じゃないってか、むしろナルなんかに泣き顔を見られたくないのに止まらない。 「サク……いや、遥斗。お前が俺をまた抱きたいって言ってくるまで俺からは手を出さねぇから……な?」  僕の頭を撫でてナルはパーテーションで仕切られたその奥に消えた。

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