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第19話(5)

「店長?……水飲みましょう?ちょっと離して下さい」  店長がお酒を飲むということは……と少し期待もあったが、今日の店長は何か様子が違う。  飲んで酔っているのに酔いきれないようにも見えて違和感が消せない。 「店長?」  離してと言っているのにむしろしっかり腕に力を込められて戸惑いばかりが増える。  やっぱり、店長がおかしい。 「…………お前に……れ……から……だよ」 「は?」  モゴモゴと俯いたまま言われてほとんど聞き取れない。 「お前に……くそっ」  顔を上げた店長は僕と目が合うとパッと顔を背けた。 「何ですか?」 「……勃たねぇんだよ」  離れていこうとする店長の腕を掴むと、店長は頑としてこっちは向かずにボソッと呟く。 「あぁ……」  口角が上がるのを感じながらそのスラックスに手を伸ばすと店長はビクッと体を硬直させた。 「店長、敏感だから……そんなにヨかったんですね」 「やめっ!離せっ!!」 「嫌ですよ」  笑いながらそのベルトを外すと、店長はやっとこっちを向いて睨み落としてくる。 「千冬さん、抱けなかったんですか?」  ファスナーを指で摘んだまま見上げると、店長は更にその目を細めた。 「大丈夫ですよ。僕が抱いてあげるから」 「待っ!!」  微笑みながらそのファスナーを下ろして下着の上から口を付ける。  頭を引き剥がそうとしてくる腕の力に威力が足りないのは酒のせいか、それとも期待があるのか。

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