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第20話(4)
しばらくすると寝息が聞こえてきて、僕はゆっくり店長の中から引き抜いてゴムを外す。
「はは……エグ」
自分でも引くくらいの量に笑いながら端を縛ってゴミ箱に捨てた。
サイドテーブルにあるティッシュをいくつか手にして店長の腹の白濁を拭う。
抱き締められたことで僕の服に付いているのがやっぱり気になってベッドから降りようとするとパッと手を捕まえられて振り返った。
眠っている店長の手が僕を捕らえているとか……どうすればいい?
「着替えてタオル持ってくるだけだから……すぐ戻るよ。だから、ちょっと離して」
嬉しくなりながら顔を近付けて囁くいても店長はしっかり僕の手を握っている。
手を添えてその手を離すとその頬にキスをして僕は小走りで部屋を出た。
脱衣場で服を脱ぎ捨てて水に浸すだけですぐにタオルを濡らして戻ると店長は眉を寄せていて、張り付いている髪を避けながらタオルで拭くと今度はギュッと体ごと抱き締められる。
「拭けないじゃん」
笑いながらタオルを床に落とすと僕ももうその腕の中で目を閉じた。
お酒の匂いのする、でも、温かい腕の中。
目を開けて見上げると、その顔は凄く穏やかになっていて僕は口の端を緩める。
明日……酔いも覚めて冷静になった店長はどんな反応をするだろう?
それも楽しみだった。
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