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第21話「堕ちて」
「うーわぁ、ご機嫌ですか?」
声を掛けられて振り向くと、戸川が幼なじみくんと歩いてきた。
「んー?怒ってるからお仕置き中なだけだよ」
ふふっと笑うと戸川が呆れた顔をする。
「雄吾 、お前感謝しろよ。俺のセックス、めちゃくちゃ優しいって」
「なっ!バッカ!お前っ!!」
「あ、大丈夫。僕もゲイだし、2人のことは知ってるから」
慌てる幼なじみくんに笑いかけると、赤くなっていた彼は掴んでいた戸川の服を離して俯いた。
「へーぇ、かわいいね」
「さくさん、マジで止めて」
「冗談じゃん!腰痛そうだからもうちょい手加減してあげなよー」
笑うと彼は更に顔を真っ赤にする。
「さくさんは店長だけ見てて下さい」
パッと彼を隠して睨まれて僕は放置してきた店長の姿を思い出した。
「大丈夫だって!よそ見した店長を今躾けてるんだから」
あの姿を想像するだけで勃ちそうだ。
「何したんですか」
「聞きたい?」
少し引いたような戸川に聞かれて微笑む。
「……止めときます。雄吾がビビりそう」
「えー!手錠と革バンドとロー……」
バチンと音がするほど勢いよく口を塞がれてそれ以上の言葉はモゴモゴと押し込まれた。
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