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第21話(3)

『それなら尚更、正月くらい帰ってきて父さんたちに直接話せよ』  何となく言われる気はしていたが、それを聞いてげんなりする。 「だからぁ、年末年始は帰れないんだってば!」  電話だからと少し強気になって言った僕は気配を感じて振り返った。  そこに立っていたのはやはり店長。 「お兄さんか……ちょっと貸せ」  問答無用でスマホを取られて勝手に大人の挨拶が始まる。  顔もトーンも普段通りだが、そのちゃんとした大人の姿にちょっと疎外感を感じた。  しばらくして手帳を出して何やら調整し出した店長の言葉を聞いてギョッとする。 「ん、替わって欲しいそうだ」  それだけ言うと、店長は首を回していつものカバンと共に部屋に入って行った。 『遥斗!よかったな!』 「は?」 『店長さんが都合付けてくれて、年末年始はちょっと無理だけどその次の土日で休みくれるってことだから!待ってるな!』  ご機嫌な翔にぃはそれだけ言って『仕事に戻る』と電話を切る。  僕はすぐには理解できずにぼーっと耳に当てたままでいると、店長が部屋着になって歩いてきた。 「ちょっ!店長!どういうことですか!」 「あ?」  スマホをソファーに投げて叫ぶように言うと、店長は目を細める。 「勝手に帰省とか!!」 「確かにお前働き過ぎだからちょっと帰って来いってだけだろーが」  僕が居ないと1人でイけないくせに?  出かけた言葉を僕はただ飲み込んだ。

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