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第21話(10)
「……忘れろ」
ギリギリ聞こえるくらいの蚊の鳴くような声が聞こえてじっとそんな店長を見下ろす。
顔を覗き込むが決して目を合わせてこない店長を見て、僕はまだ白濁にまみれた手を口元に持ってきてピチャッとわざと音を出して舐めてみた。
「なっ!!」
信じられないものでも見たような店長は真っ赤にして僕の腕を掴んで口から引き離す。
更に舐めてみようとしたが、そのまま有無を言わさぬ感じで雑にティッシュで拭われた。
「フザけてんのか!てめぇっ!」
「えー?こんなものまで愛してるんですよ」
笑ってみると、店長にそのまま腕を引かれて立たされる。
「洗え!すぐ洗ってこい!クソがっ!!」
言いながら何も身に着けていない下半身に布団を手繰り寄せる姿は理性を保つギリギリだ。
会いたかった店長に会えただけでも嬉しいのに……
「パーカーなんて持っていかなくても傍に居ますからね」
目に入ったパーカーを拾い上げて振り返ると店長はバッと布団を頭まで被る。
「僕が何度だってイかせてあげるから……」
その布団を捲りながら囁いてその耳に口を寄せると店長は身体を跳ねさせた。
「僕で気持ちよくなって……僕なしじゃ居られなくなって」
「バカ言う……」
睨んでくる顔に狙いを定めてその唇を奪う。
抵抗していた力も少しずつ抜けていくのを感じて嬉しさが暴発しそうだ。
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