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第22話(8)

「店長……大丈夫ですか?」  体を起こして残っている涙の筋に手を伸ばすと、まだ息のあがった店長はぼんやりとしたままただゆっくりとまばたきをする。 「んぅっ……」  腰を引いてその中からズルリと抜くと、ゴムの先に溜まった白濁の量に笑えてきた。  まだ熱を宿したままの色っぽい店長を見ながら処理してごみ箱に捨てると、乱れたその髪を手櫛で整える。 「聞こえてます?」  頬にそっとキスをすると、店長はゆっくりこっちを見た。 「水持って来ますね」  硬いその髪を撫でて体を起こそうとすると腕を掴まれて引き戻される。 「……まだ……ここに……」  掠れた声で顔は背けて言う姿がたまらない。 「好きですよ」  その赤い耳に唇を寄せると、店長はギュッと目を閉じて縮こまった。 「店長も僕のこと好きでしょう?」  息を吹きかけながら言うとパッとこっちを向いた店長がグッと唇を噛む。  いつものように「んな訳あるかっ!」と怒鳴ってこない。  あれ?と思いつつ逃げようとするその顔に両手を添えてこっちを向かせた。  真っ赤になっていて戸惑ったような顔。 「……マジ?……好きじゃん」 「勝手に言……!!」  言い返そうとしてくる口をキスで塞ぐ。  何度も啄んでいると口が開いて舌が求めてきた。  深く絡めてたっぷり想いを注ぎ込む。  背中に回された手が嬉しくて、店長も求めてくるように舌を伸ばすのがただ幸せで……離れられなかった。

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