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第23話(4)
「戸川もさっき信じなかったでしょ?そのくらい付き合っても何も変わらないんだよ!」
僕もイスに座るとテーブルに肘を付いてため息を吐く。
「男同士なんてそんなモンじゃないですか?俺だって最初は雄吾のやつ「家でもくっつかないようにしよ」って言いましたし」
「え?何で?」
「外でもボロ出しちゃうといかんから一線引くって」
「えー、でも、ラブラブじゃん」
「外ではくっつかないですよ。むしろ、オープンにしてる人ってほとんど居ないじゃないですか」
「あー、須藤 とか?」
思い当たる名前を出すと、戸川は一瞬動きを止めた。
「え、大和 先輩たちのこと気付いてたんですか!?」
びっくりしたような戸川の反応にむしろ僕の方がびっくりして笑えてくる。
須藤は僕と同じ学部でゼミは違うけど、1、2年の必須科目とかでは苗字の“さ”と“す”でグループが一緒になることも多かった奴だ。
戸川にとっては映画サークルの先輩でもある。
女と腕を組んで(組まれて?)いた時期もあったが、あいつがよく一緒に居る男……
「同じ映画サークルで僕と同じアパートだった|竹林《たけばやし》って居たじゃん?それと同じ学部の小さな男と居る時の表情は見た瞬間にわかったよ」
「小さな男って……莉音 先輩の身長ってさくさんと確か一緒ですよ?」
その男を思い出しながら笑うと、戸川は苦笑いをして伸びをした。
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