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第23話(9)
「……お前がモカ好きだから……チッ!!」
何かを言いかけたのに思いっきり打ち鳴らす舌打ち。
ガタンと音を立てながら荒々しくイスに座って店長は腕を組んだままそっぽを向いた。
僕が好きだから?それでわざわざ取り寄せてくれたの!?それって……。
思わず緩む口元。
それに気付いたのか店長は目さえ合わせてくれない。
「……店長」
声を掛けても無視。
立ち上がって目の前に立っても店長はガンとしてこっちを見なかった。
屈んでその両頬に触れると、店長はちょっとピクッと肩を跳ねさせる。
「ありがとう」
そのまま抱きついてギュッと力を込めると、店長はただ静かに目を閉じた。
逃げたりしないで大人しく受け入れてくれたのはやっぱり嬉しい。
「好きですよ」
言ってみたところで返事はしてくれないが。
キスしようとすると、
「バッ、ここ、店だろっ!!」
慌てて逃げようとする店長に無理矢理唇を押し付ける。
「ん、や……ふっ、ん……」
首を振って文句を言おうとする口にそのまま舌を差し込んだ。
水音を立てて絡まる舌と熱い唾液。
寄る眉に赤みを帯びる頬。
角度を変えて深くその腔内を抉ると、力の入っていた店長の身体はゆっくりと溶けてふにゃりと腰を抜かす。
「完勃ちっ」
唾液を繋げたまま微笑むと、店長はとろんと溶けた顔でこっちを見上げた。
その顔に僕はごくりと唾を飲み込む。
この|表情《かお》は何度見ても……クるわ。
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