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第24話「勘違い」

「……で?ノロケか?」  祠堂さんに睨まれて黙ると、祠堂さんはデスクでため息を吐いてから手帳を捲って受話器を手にした。  聞こえてくる綺麗な発音の英語を聞きながらソファーでそのまま目を閉じる。  声だけは好み……いや、顔も嫌いじゃない。  セックスだってめちゃくちゃ相性はよかった。あの震える腹筋…… 「こら、寝るな」  小突かれて目を開けると祠堂さんがすぐ側に立っていた。  思い出しかけていたナルの面影を頭を振って遠くにやろうとすると、祠堂さんはため息を吐く。 「そんな勃ててるなら来るか?」 「は?」  遠慮なく見られている股間を隠すと、祠堂さんはメガネを外してネクタイを緩めた。  見慣れた色気のあるナルの顔。  ナルで反応したのがちょっと悔しくて眉をひそめると、パッとその顔はすぐに余裕のある祠堂さんの顔に戻った。 「わかってるよ。店長だけ……だろ?」  伸びをすると、祠堂さんはそのままシャツを脱いでパーテーションの奥に消える。  出てきた緩いジーパンに真っ黒のパーカー姿を見て聞かなくてもこの後の予定を悟った。 「祠堂さんも本命とか考えたら?」 「んー?必要ねぇ。ガンガン腰振って、思いっきり奥まで掘られて……気分で好きにできるのがいいんだよ」  前ならこんなナルを思いっきり組み敷いてやったのに、そうしたいと思うどころか昨夜の店長を思い出して思わず微笑む。

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