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第24話(3)

 朝からのバイトを終えて伸びをする。  いつもなら早智子さんのお店に行くかそのまま帰るが、僕は駅に向かって歩いていた。  目的地は祠堂さんのオフィスの1階にあるケーキ屋。  最近、ジュレのフルーツを悩んでいる店長に少しは気晴らしになればと思ったからだ。  まぁ、ついでにちょっと翻訳で悩むところを祠堂さんに直接相談できたら……とも思ったからだけど。  いくつかケーキを買って、祠堂さんにも差し入れに箱を分けてもらった僕はいつもの階段を上る。  だが、オフィスの扉は鍵がかかっていて開かなかった。 「えー、ケーキ買っちゃったじゃん」  ため息を吐きながらクルリと向きを変えて階段を降りる。  駅に戻ろうと歩き出した僕は少し先に祠堂さんの後ろ姿を見つけて少し歩を速めた。  祠堂さん自身が僕より約20cm高いからコンパスが違うのか全然追いつかない。 「あー、もうっ!」  ケーキの箱を2つも持っているのも気を遣って諦めようとした僕の目に入ってきたのは笑顔で手を振る祠堂さんだった。  その視線の先、祠堂さんの元に走っていくのはラビ。  そういえば、僕がタクマに襲われた時もラビがどうのって言っていた気もする。 「へぇ……」  意外と違和感のない2人を見ていると、祠堂さんが振り返った。  手招きをされて肩を竦める。  気づいていたならもっと早く止まってくれればよかったのに。

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