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第24話(5)
店の終わりに押しかけて、まだ閉店後の片付けをしていた戸川に呆れられる。
店長にも無視されたが、
「じゃあ、邪魔者は帰りますね」
戸川が帰って行ったのを見て店長は思いっきり睨んできた。
「……あいつ知ってるのか?」
「大丈夫ですって!戸川もかわいい彼氏持ちですから!」
「そうじゃな……え?」
固まった店長を見て微笑むと、店長はふらふらとキッチンから出てきてイスに座る。
「店長はまだ気にしてるみたいですけどね。意外とゲイカップルって居るもんですよ?」
「お前、なかなか居ないっつってなかったか?」
睨まれて水をグラスに入れて持ってくると、店長はそれを一気に飲み干した。
「それは好みのセックス相手ですよ!今は毎晩店長が相手してくれるし、誰も抱いてないですよ!」
「へぇ」
テーブルに肘を付いて目を逸らした店長の正面に立ってその両頬に手を添えると、その目を覗き込む。
「疑ってるんですか!?もうアプリは消したし、連絡も取ってないですよ!」
「わかったって」
「店長だけだから」
逃げようとする店長をしっかり捕まえて微笑んだ。
「実際戸川はタチ同士で裸見たこともないですもん!」
「……待て!あいつは俺が挿れられてるって」
「うん、知ってる!」
にこっと笑うと店長は頭を抱える。
僕はその手を退けて顎を捕らえると、噛み付くように唇を重ねた。
舌をしっかり絡めて余計な思考は奪うように。
「この表情 は僕だけ……ね?」
店長のトロ顔を見つめて僕はまた深くキスをした。
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