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第28話(3)
僕はキュッと唇を引き結んでキッチンに回るとキスを強請ってグッと上を向く。
雅美さんはしばらくそんな僕を目を細くして見ていたが折れてそっと近づいてきた。
その首の後ろに素早く手を回して舌で口を割り開くとそのまま舌を絡める。
できることならずっとこのまま絡め合っていたい。
離れたくない……そう思うのは雅美さんもなのか、繋がった唾液は途切れることなく僕の口の中で水音を立てて混じり合う。
「んっ……ふっ……」
立っている時は僕の方が圧倒的に不利だ。
どうしても僕の口に集まってくる唾液で溺れそうになるし、背伸びをした状態で抱き込まれて丸ごと喰われるような錯覚を起こしたりもする。
ゴクリとその唾液を飲み込んで少し離れると、雅美さんは伸ばしていた舌をゆっくり収めてそのまましっかり僕を抱き締めた。
「くそ……」
キツく抱き締められるそれが嬉しくて僕もしっかりその腰に手を回す。
「……ねぇ、雅美さん」
「ん?」
ギュッとくっついたまま呟くと、雅美さんも離れずただ耳を傾けてくれた。
離さないでいてくれたことがこんなにも嬉しいのは……このキツさが心地いいのは……そうしてくれるのがやっぱり雅美さんだからだ。
「結婚しません?」
この愛しい人ともう少しでも離れたくない。
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