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第28話(6)

 かなりみんなを待たせたはずなのにスタッフルームから店の中に入っても誰も居なかった。  しかも、いつの間にか戸川も消えている。 「雅、いや、店長?これって……」  フロアからキッチンに行っていた雅美さんの方に向きを変えると、雅美さんがちょうど手にケーキを持って出てきた。  そのシンプルなチョコレートのケーキには『Will you marry me?』と書かれている。 「……え?」 「さっき先に言われたけどな?」  すぐに理解できなくて雅美さんを見ると、雅美さんはケーキを僕の目線に合わせて首を傾げた。 「Sure!I belong to you.(もちろん!僕はあなたのものですよ)」  僕が微笑むと、雅美さんは近くのテーブルにケーキを置いてから少し屈んで腕を広げる。 「It will always be you and me.(いつでも一緒に居ましょうね)」  そんな雅美さんに抱きついて胸に込み上げるものをキスと共に伝えた。  何度も角度を変えてただ深く繋げていると、 「とりあえずっ!!おっめでとーっ!」  クラッカーの音と共に添さんの声がしてさすがの僕も固まる。 「……は?」  意味がわからなくて雅美さんを見ると、雅美さんは真っ赤な顔をただ腕で隠した。 「このままおっ始めるかと思ったぞ?」  ニヤニヤ笑っているのは祠堂さん。 「ま、それはそれで見たいけどね!」  その隣には笑っているラビも居て、戸川、水城、芳井、早智子さん、店長の妹の雪乃さんまで居た。

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