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第28話(7)

「はぁ!?」  さすがにマズい!と慌てて離れると、戸川は笑いながら僕を雅美さんの方に押す。 「ちょっ!!」 「大丈夫ですよ。みんな知ってますから」 「はぁ!?」  戸川の言う意味がわからなくて声が裏返ると雪乃さんも歩いてきて僕の両手を握った。 「集まってるのよ」 「へ?」  みんな聞いてる?  その意味がすぐにはわからなくて集まっているみんなの顔を見た。 「みーんな、集まってんの」 「だから、さっき既にプロポーズしてるとか何事かと思いましたよ」 「は!?そうなの!?」  添さんと戸川の会話を聞きながら呆然としていると、雪乃さんが僕の袖を引っ張る。 「お兄ちゃんのことよろしく、ね?」 「あ、いや」 「嫌?」 「そうじゃなくてっ!」  雪乃さんに向き直ると僕はゆっくり息を吐き出した。 「いいんですか?だって……その、男同士だし」  少し不安になると、早智子さんが僕の背中に手を付く。 「はるくん!ここにこれだけの人が居るのは雅美ちゃんが何度も話して、みんなが2人を祝福してるからよ」  微笑む早智子さんから雅美さんに目を向けると、雅美さんは逃げるようにキッチンに入って行った。 「びっくりはしましたけどね」 「“好き”は止まらないですもん!さっきの2人、めちゃくちゃ幸せそうでしたよ!」  料理を運んできた水城と芳井も笑いながらをテーブルに料理を並べ始める。 「ほいっ!お祝い!パーティーな!」  添さんも笑いながらをどんどんグラスを運んできた。

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