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第28話(8)

 みんなで乾杯して、早智子さんと戸川と雪乃さんで作ってくれたという料理を食べて。  実は祠堂さんとラビこと植野(うえの)(さき)(苗字の“う”+“さき”=うさぎってことでラビって……面倒くさい)が付き合い始めたと宣言して。  僕たちのプロポーズに触発されたのか、祠堂さんたちのカップル宣言に乗ったのか……スマホを見つめた戸川がそのまま電話を始めた。  そして、顔を出したのはあの幼なじみの雄吾(ゆうご)くん。 「俺たちも付き合ってます」 「バッ!!」  迎え入れるまま肩を組んで公言した戸川に雄吾くんが顔を青くして慌てる。 「大丈夫!」  微笑んで雅美さんに寄りかかると、祠堂さんも咲を後ろから抱き寄せて笑った。 「……え?」 「ここは大丈夫だから」  雄吾くんの手を握ってこっちに歩いてくる戸川の表情がかなり穏やかでカッコいい。 「えー!何かみんな幸せそうとか……あ、水城!俺らも付き合うー?」 「は?何でそうなるんですか。寂しいならどうぞ、誰か女性を呼んだらいいんじゃないですか?」  添さんがグラスを置いて周りを見回してから水城に声をかけたが水城は相変わらずだ。 「何か安心した」  ぽつりと雪乃さんが呟いたのが聞こえて気になっていたことを聞く。 「え?あ、もしかして旦那さんは反対してましたか?」  だが、雪乃さんはきょとんととしてから笑って首を横に振った。

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