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間違い①

 その日、いつものように俺はイヅルの部屋に遊びにきていた。  期末テストの最終日。  半日で学校は終わって、特に予定もなかった。  イヅルたちは部活が夕方まであるらしく、その間俺はイヅルの部屋で暇を潰していたんだ。 「あー……暇」  さんざんやりまくったゲームソフトをちらりとみて、その一つをとりだしセットする。  聞き慣れた音楽がはじまった。 『今日はみんなでテスト終わりの打ち上げするからお前もこいよ』  テスト終了直後、イヅルに言われた言葉。  バレー部の集まりだから俺にはなんの関係もないんだけれど、毎日のようにイヅルとつるんでいるおかげで、自然とバレー部員全員と仲良くなっていたんだ。  ぼーっとコントローラを手にイヅルたちの帰りをまつ。  ……っとにバカだよな  自分自身にため息がでる。  いつのまに俺は、イヅルの事をこんなに好きになってしまったのか。  毎回毎回考えても、答えがでることはなくて。    ……なーんかムカつくなぁ……  イヅルお気に入りのふざけた顔した豚のぬいぐるみの頭を叩く。 「……どうして俺がイヅルの言いなりみたくなってんだよ」  ぬいぐるみをみつめて、ぼそっとつぶやいてみる。  前に、やけにかわいい趣味だなとつっこんだら、前の彼女からのもらいものだとゆう事が発覚した。彼女に未練があるとかそうゆうわけじゃなくて、なんでも顔が幸せそうだから、見ていて癒やされるらしい。  そう聞かされても、俺はなんだか複雑な気持ちになった。 『え、妬いてんの?』  ははっと笑う余裕な顔。  俺の気持ちを知っていて、イヅルは平然とそんな事を言う。それは日常茶飯事で。  ……なんだかすげー面白がられてるっつーか  遊ばれてるみたいな気分になんだよ。  豚の頭を軽く撫でて、しばしにらめっこ。 「おい日向……何、してんだ?お前……」 「?!」  そんな俺に向けられた呆れたような声。  豚を両手で抱えたまま振り向くと、そこに南がいた。 「え、お、あ、ああ!もう終わったんだな!はは」 「はは、じゃねぇよ。お前大丈夫?さっき豚に話しかけてなかった??」  訝しげな顔をして、南が近寄ってくる。  ーーやばい  だって俺、イヅルの可愛がってるぬいぐるみなんか抱きしめてたんだ。  ほんとはイヅルのぬいぐるみだからなんだけど、そんな事がバレてもやばい。  つーか、どう考えたっておかしいだろ?  ……明らかに変なヤツじゃん  そんな事を考えて焦っている間にも、南は俺の抱えている豚をとりあげにらめっこ。 そうしてしばらくして、にかっと笑う。 な、なんだよ…… 「よくみりゃ可愛いなっ」 「そーかよ……」 ……南が単純でよかった

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