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偶然なのか運命なのか①
それから俺とダイチと毎日のように遊んで、あっと言う間に一週間は過ぎた。
明日はイヅルと会う日だ。少し昼寝でもするかと横になりベットの上で何度も寝返りをうつ。ふと止まって両腕を伸ばした。
あーなんだか落ちつかない……
結局眠れずに、仕方なく携帯をいじっていると、ちょうどダイチから電話がきた。
「もし」
『ナオ、今暇?』
「あー暇だけど……」
『じゃー学校にこいよ!あ、お前のな。校門で待ってる』
「は?おい……」
言葉をつなげる前に通話はきれ、そのあまりの早さに会話の意味がわからず俺は唖然とする。
うちの学校にこい?
今から?夏休み中なのに?
まぁ、ダイチはいつもこっちの都合なんか気にしないけど……それにしてもひどい。
今から来いって、どんなジャ○アンだよ。最初に暇か聞いてから言うのがずるい。無視するわけにいかないじゃないか。
……まぁ、どうせ今日は暇だからいいんだけどさ
なんだかんだ文句を並べながらも携帯を手に、俺は学校へと向かっていった。
◇
夏休みだというのに、学校は部活や補修のためにきたやつらで平日並の活気だ。
……お疲れ様です
軽く心で労いの言葉をかけて、俺は炎天下の校門でダイチを待つ。
「ダイチ」
「よぉ」
立ち始めてから10分程したくらいだろうか。H高の制服をきたダイチがやってきた。
「え、お前……何その格好!」
「んだよ。なんか変かよ?補修帰りなんだっつーの」
「いや、変……じゃないけど、ププッ、ダイチが制服なんかきちゃってる……っ」
笑いが抑えられない俺につられて、ダイチも悪態をつきながら笑って、軽く肩をおしてくる。
「いやつーか、なんだよ。休みのうちの学校にって……なんか面白れぇ事でもあんの?」
「や、面白いつーか、今日約束しててさ……ここで会うんだよ。あいつ忙しいからそんなに会いたいなら会いにこいよとかいうんだぜ?ったく……」
そんなことを言いながら、誰かを見つけるようにダイチがキョロキョロと辺りを見渡し、まだ来てないかと呟いた。
……まてまて、なんだって?
「なんの事だ?話が見えねぇ」
「ほら、この間お前にいったろ?俺の仲間っつーか、親友?今度会わせてやるって」
……ああ、この間いってた仲間ってやつか?
でも、あれ?て、事は……
「え、じゃあ何、お前が紹介したいっつった親友って、うちの学校?」
「そ」
「なんだ、聞いてねえよ」
「言ってねえし」
言いながらダイチが軽く笑った。
なんだ。それならそうと、最初から言ってくれればいいのに。
「なんだよ、うちの学校のやつなら、集合しなくたって名前教えてくれりゃあいいのに。なんか恥ずかしいじゃん、こんなとこで待つの」
休みの学校でも今日はなぜか人が多くて、校門を通るやつらの視線を気にしながらぶつぶつ文句をいう俺をみてダイチが笑った。
「ちょうど補習後で暇だったし。お前も暇だったんだろ?それに直接紹介したいし。そのほうがなんか仲良くなれそうじゃん?」
「まあそうだけどさー」
……まあ、どうせ今日は暇だったしな
俺は諦めたようにため息をついた。
そのまましばし校門前でくだらない話をする。その間、チラチラと視線を感じる。何故かって、他高の制服をきたダイチは相当目立つからだ。そうじゃなくても、普通にイケメンだし。
ちらちら見られる好奇の視線に耐えきれず、別の木陰にでも移ろうかとしていると、ダイチが誰かを見つけたようだ。
「あ」
「ダイチ?」
「……あ、知り合い発見……ゆき!」
片手をあげたダイチに気付き、女子が1人小走りでこちらに近づいてくる。近くまできて、その子が誰かわかった俺は言葉を失った。
「ひさしぶり。あいかわらず楽しそうじゃん」
「えー、なんでなんで?なんで葉山くんがここいるのー?!あ、え……」
そうして彼女がこちらを見る。俺は固まったまま動けない。彼女も俺に気付いた瞬間、顔色が変わったのがわかる。
「……え、葉山くん、なんでここに……日向くんと……」
「だって俺ら親友だもん」
なー、と笑うダイチだけ除いて、ぎこちない空気が流れた。
だってそこにきたのは、数ヶ月前に俺とイヅルに波乱を巻き起こした、あの雪ちゃんだったのだから。
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