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据え膳ですよね?

 俺に言われるがまま、彼は迷いながらも部屋までついてきた。  チョロい。……チョロ過ぎて、こっちが不安になるレベルである。  しかしこれは、紛れも無き据え膳。  美味しく全部、頂きます。    とはいえ痛みを与える事なく、勃たなくても気持ちいい行為は出来るんだよと、カラダに教え込むのが大事だ。  欲望のまま、貪ってはいけない。  だってそれだと、クソビッチの元カノと同じになってしまう。 「シャワー、浴びます?  それとももう、始めちゃいます?」  邪気のない笑みを浮かべ、聞いた。  すると素直なこの人は、迷うような素振りを見せながらも、風呂場を貸して欲しいとねだった。  本当ならば俺が洗ってあげたいところだが、事を急いてはいけない。  あくまでも、治療(?)のための行為だと、思い込ませる事が大切なのだ。  シャワーを浴び終わると、彼はバスタオルを下半身に巻き、少し照れ臭そうに笑った。  ......可愛いな、やっぱり。  たぶん世間一般では、イケメンと評されるであろう彼。  なのに俺には、愛らしい大型犬みたいにしか思えない。 「お待たせ、木元。  何から何まで、すまないな」  下心しかないため、罪悪感が頭をもたげかけた。  しかし今日を逃したら、きっとこんな機会は二度と来ない。  鉄は、熱いうちに打て。  出来る事ならば、ついでに俺の熱い楔も彼に打ち込みたい。  俺も浴びてきた方が良いかなとも思ったけれど、別にこの人を抱ける確証があるワケではないのだ。  ただ勃たせるお手伝いを、してあげるだけ。  ……今日のところは、まだ。 「いえいえ、何を水臭い事を。  俺と、田橋さんの仲じゃないですかぁ」  醜い欲望は綺麗に包み隠し、満面の笑顔で答えた。    

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