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第6話

「お前、泊まっていけば?」 「何で。」 「だって、今日行ったから、明日ご飯作ってくれるんだろ?」 「いや、そうだけど、着替えとか」 「俺のを着ればいいだろう。先行ってるから、来いよ。」 ホント強引すぎだろ。 けれど、秘書として社長命令なので仕方なく駐車場に車を停めた。 「あ、その前に」 俺は車の中で先程別れたばかりの祖母へ電話をかけた。 『あら、晃。どうしたのかしら?』 「どうしたって、用件はわかっているでしょ。」 『写真のこと?』 電話越しで、ふふ、と楽しく笑う。 「そうです。何で、」 『写真がどうかしたの?』 楽しくて仕方ないのか笑いを堪えたような声が聴こえる。 「兄貴に俺の文化祭のときの女装の写真見せるとか何やってるんですか!!あれは、俺にとって黒歴史なんですよっっっ!!!」 『だって、あんなに素直に信じて会ってみたいなんて言うとは思わないじゃない。』 「まあそれは思いましたけど、で、来週の土曜どうするんですか?」 『そんなの、晃が女装して会うしかないでしょ。』 「はっ?」 ーーー・・・・・・女装? 女装って言ったの? 『晃もわかっていると思うけれど、透は興味あるだけで、結婚には至らないだろうから、土曜会って、その後は適当な理由をつけて別の似た子を探すわよ。』 そんな、漫画やドラマじゃないんだから、そんな都合よくいくわけねえだろ!!と叫びたい気持ちを我慢していたら、じゃあね、と祖母に電話を切られた。 ありえない。 俺が中、高校生のときは、兄貴とはほとんど会ってなくて、女子に本格的にメイクをされ、黒髪ロングのウィッグ被った清楚系女子の写真が俺だと気づくわけもない。 けど、今は平日はほぼ毎日一緒にいるんだ。 騙せるわけないだろ!?って思うのが普通だと思うんだけど? 「なんか、頭痛くなってきた。」 はぁ、とため息をついた時、兄貴から連絡が入ってきた。 『遅い。早く来い。』 はぁぁ。 何度目かのため息をついてから、車を降りて兄貴の部屋へと向かう。

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