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第9話

男にキスされたのは初めてだし、女とは数回あるけれど。男だし、いつもはする側だからされる側のことなんてわからないけど。 ーーー・・・・・・コイツ、うますぎる。 「んっ、」 「へえ、そんなに良かったの?」 思わず漏れた声に意地悪そうに笑いながら至近距離で見てくる。 「ち、ちげえし!!」 「そんな涙目で言われても説得力ねえよ?」 クスクスと新しいおもちゃを発見した子供のように笑う。 「もういいだろ、退けって。」 「嫌だ。だってお前、可愛いし。」 「28の弟が可愛い訳ねえだろうが。冗談もほどほどにしとけよ。」 「あー、」 兄貴は考えるような素振りを見せると、すぐまた意地悪そうな顔になり、俺を見下ろす。 「まあお前はどちらかと言うと、可愛いじゃなくて美人系みたいだしな。」 一瞬、何を言ってるのかわからず考える。 ーーー・・・・・・が、やはりわからない。 「高校生のときにあんな美人だったんだから、そりゃあ今はさらに綺麗系になるわけだ。」 はっ? すり、と頬を撫でる。 「あれ?お前さ、まさか俺が気づいてないとでも思ってんの?」 「ーーー・・・・・・え?」 頬を撫でていた手が俺の前髪を梳くと、そこにキスを落とす。 「あの写真の女子高生って晃だろ?」 組み敷かれた状態ではあるが、思いっきり睨んでやった。 「気づいてて会うとかどういうことだよ!?」 羞恥と怒りで顔が熱い。 「お、俺が、どんな想いで、あそこにいたと思ってるんだよ!?」 「まあまあ、落ち着けって。」 落ち着くわけねえだろ。 兄貴と女装した俺が危なくお見合いさせられるところだったんだぞ!? 「お前だから、会ってみたいと思ったし。」 いやそれこそ意味不明だし。 「お前、頭おかしいんじゃねえの!?女装させられた弟に会いたいとか意味わかんね。つか、この状況がマジで意味わかんねえんだよ! 退けよ、弟相手に盛ってんじゃねえよ! どっかで彼氏見つけてこいよ、」 「晃、もういいから少し黙ってろ。」 兄貴の頭がおかしすぎて、俺がパニくって捲し立てるように文句言ってたら怒ったのかわからない顔で低めの声で黙ってろとか言われてさっきよりも少しだけ強引に唇が重なる。 ほぼ無理矢理舌入れられ、めちゃくちゃに口内犯される。 ようやく解放されたかと思って思いっきり睨んだ。 「てめ、マジでふざけ、」 言い終える前にまたキスされる。 何でーーー。 こんな、弟相手にガチのキスとかしてんだよ。 つか、息くるしっ、 と思った瞬間、首筋とか舐められる。顎のあたりから徐々に上に行き、耳を犯される。 水音が耳の中に響くーーー・・・・・・。 「んっ!?ふっ、あ、んぅっ、」 「コレ、気持ちいいんだ?」 される側なんて生まれて初めて経験したわけで、こんなとこで感じそうになるなんて知らなかった。出したくないのに、気持ち悪いくらいの甘い声が漏れる。 それを聞いた兄貴の吐息交じりの掠れ気味の声で囁くように言われて、俺の下半身が反応する。 くそっ、何で、兄貴相手なんかにーーー!

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