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第21話

「あのさ、どこ行くの?」 俺がそう聞くと、兄貴はスマホの画面を見せてきた。 その画面は高瀬家が所有している古民家風の温泉宿。 「女将さんに連絡しといたから。」 は?貴重な休日に一泊で?職場の上司でもあり兄でもあるコイツと温泉宿? 「・・・・・・何で。」 今日は洗濯やら買い物したかったのに。 「んー、温泉に行きたい気分だから。」 何でコイツの気分で俺の休みが潰されるんだよ。 「・・・・・・マジかよ。意味わかんねえ。誰かセフレの一人や二人捕まえて行けよ。」 思わず本音が漏れてしまった。 「は?お前バカ?何でわざわざ休みの日に一泊でセフレと過ごさなきゃなんねーんだよ。」 「いや、それ言ったら俺だって何で一泊で兄弟で上司のお前と過ごさなきゃならねえの?」 「セフレってのはその日にヤリたい為に会うだけでお前は違うだろ。」 「そりゃそうだけど。俺たちで一泊も違くねえの?」 「・・・・・・はあ、晃。」 ため息をついた兄貴が近づいてきたと思ったらーーー・・・・・・。 「お前もう黙れ。いいからさっさと行けよ。」 ーーー・・・・・・キスをされ、めちゃくちゃ横暴に言われた。 いやいやいやいやいや!!! え?何で今キスされたの? 俺も何で普通に受けてんの!? キスされる要素あった? ないよな!? マジで意味わかんねえんだけど。 何かイラついてるし目つきこえーし、仕方なく車を発進させる。

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