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第26話

兄貴が運転を代わって40分くらいで目的の宿に着いた。 本来はチェックインの時間は午後2時からだけど、今はまだ11時半。 早めに着くかもと言っていたらしく、旅館のスタッフたちが全員でお出迎えしてくれる。 「透様、晃様。お待ちしておりました。」 女将さんにそう言われて、大人になってから初めて来たけれど、そういや子供のときにお祖父様が連れてきてくれたときはこんな感じだったなあと何となく思い出した。 普段は自分の家のことをすごいとか思わないけど、こういう時間外に来ても歓迎されるとか、名前を知られてて『様』をつけて呼ばれるのを聞くと、やはり高瀬家ってすごいんだなと感じる。 荷物を手渡し、案内された部屋は『ゆきの間』という部屋。 ここは知ってる。 この旅館の最奥にある、他の部屋とは違うVIP部屋。 最上階の一番景色が綺麗に見えるところに露天風呂と内湯が設置されていて、和室と洋室の二部屋になっている。 「ではごゆっくりとお過ごし下さいませ。」 女将さんはそれだけ言うと部屋をあとにした。 「すげえ。俺、この部屋は初めて入る。」 窓から見える景色ですら、全面に海が広がっていて、海を見下ろすように眺める景色はまさに極上。 その窓際に小さめのテーブルと椅子があって、ここに座ってボッーとするのもいいなと思う。 部屋の奥に少し高くなってる先には部屋からはガラス張りで丸見えな露天風呂がある。そこが一番景色がよく見えて時期になると花火も見えるらしい。

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