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第28話
「俺も言われてみたいな。」
ポロっと出たのが何故かされる側で慌てて訂正する。
「じゃなくて、言ってみたい!!うん、言ってみたい、だ。」
慌てて言い直したけれど、間近にいた兄貴はクスクス笑いながら、後ろからぎゅうと抱きしめ、俺の肩あたりに顔を寄せる。
「訂正しても遅いよ。」
意地悪く笑いながら言われる。
「お、お祖母様の気持ちとか考えてたからつい、だし。」
「はいはい。そーゆうことにしといてやるよ。つか、お前さプロポーズしたい相手いねえだろ。」
「・・・・・・え?」
「何、その間。」
「え?あ、いや。なんでもない。」
「・・・・・・ムカつく。」
低く呟くような声と共に畳の上へと組み敷かれる。
「お前、そーゆう相手いるの?」
怒らせるようなことしたっけ?
俺に跨る兄貴がイラついた顔で見下ろす。
「い、いねえし。」
そんな相手がいたら、兄貴とこんな状況にいるわけない。
けど、一瞬だけ過ぎった、生涯を共にしたい相手がーーー・・・・・・。
その相手がーーー・・・・・・。
兄貴だったなんて、言えるわけねえだろ。
「お前は。」
ふと兄貴が近づいて、やや乱暴に強く唇を重ねる。
何度も何度も強く求められ、強引に口内犯されて息できなくて苦しい。
「お前はずっと、」
ようやく解放されたかと思ったら何か泣きそうになってる兄貴と目が合う。
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