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第42話
もうすぐ夕飯の時間だからと机の前に座るとタイミング良く戸をノックする音が聞こえ外から仲居さんに声をかけられる。
運び込まれた料理と酒が机に並べられる。
さすが海が近くにあるだけあって、新鮮な魚介が並ぶ。
兄貴はいつもよりはややペースを落として酒を飲みながら、俺は一杯だけ飲みながら他愛もない話をして夕飯を堪能する。
「はー、もう食えねえ。」
「俺も。」
俺も、と言いつつ酒飲むのだけはやめないってさすが兄貴らしいというか・・・・・・普段なら飲みすぎだって言うところだけど、今日は旅行中だし、まあいっか。
食器などは部屋の前に置いてくれれば取りに来るって言ってたから、片付けて外に置いておく。
兄貴が時計をチラっと見てから、俺に動けるかどうか聞く。
「ん?大丈夫だけど?」
「じゃあ、一緒に風呂入ろうぜ。」
酒を片手にもう片手は俺の腕を掴みながら、浴衣のまま風呂場へ連行される。
お祖父様がお祖母様にプロポーズしたときに座ってたというベンチに二人で座る。
俺は兄貴に肩を抱かれ、渡された酒をちびちび飲みながらぼっーと夜景を眺める。
何だか今日一日で色んなことあった気がする。
兄貴に恋愛感情抱くとか絶対におかしいのにーーー・・・・・・。
「この時期だと夜はまだ少しだけ肌寒いな。」
さらにグッと距離を縮められ、兄貴の肩に寄りかかるような体勢。
何で、こんな恋人同士みたいなことをするの?
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