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第52話

「本当にいいの?」 駐車場で兄貴が運転席に座り、俺が助手席に座ったけれど最後にもう一度確認。 「俺のせいで無理させたんだからいいって。お前は今日くらい年上に甘えとけ。」 「・・・・・・ん。わかった。」 「素直だな?そんなとこも可愛いけど。」 「だからっ、28の男に可愛いとか言ってんじゃねえよ。」 恥ずかしいのと嬉しいので熱くなる。 そんな俺を見て満足気に笑いながら車を発進させた。 昨日と同じ道を走る。 兄貴は上機嫌で歌を口ずさみながら運転している。 本当に普段の姿からは想像できないほど無駄に爽やかっていうかーーー・・・・・・悔しいけれどカッコイイ。 同じ兄弟だけれど、兄貴は父親似で俺は母親似らしい。俺は両親の記憶はほぼないからわからないが、祖父母がそのようなことを言っていた。 「・・・・・・父さんってやっぱカッコよかったのかな。」 兄貴をボッーと眺めながら無意識でそんなことを呟いていた。 「え?急にどうした?」 運転中の兄貴がほんの一瞬だけ助手席の方をチラッと見てからすぐに前を向く。 「んー、・・・・・・何となく?兄貴に似てるって、そう思ったら・・・・・・どんな感じの人、だったのかなって・・・・・・。」 車に揺られ心地良い声を聞いていたら急激に睡魔に襲われた。 自分が何を言っていたのかも曖昧で眠ってしまったらしい。

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