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第58話 喧嘩?

ただただーーー・・・・・・無言の車内で兄貴の顔見れなくて、窓の外をボッーと見ている。 さっきまであんなに快晴だったのに、いつの間にかポツポツと雨が降っていて。 すげえタイミング。漫画とか小説の中でよくあるやつ。 『まるで俺の心を表しているようだ。』まさにそんな感じをさせられる雨。 雨は好きじゃない。ガキの頃からずっと、雨の日は苦手だった。 両親が事故に遭ったのが雨の日だと聞いたからーーー・・・・・・。 大人になってからはそうでもなくなったのに、今はーーー・・・・・・無性に心細くて寂しくて悲しい。 子供の頃、雨の日の夜は心細くていつも兄貴の部屋に行って隣で寝ていた。 その時から少し歳の離れた兄貴の頭を撫でてくれる手が好きで、優しく笑う顔が好きだった。 怒らせたことなんてなかった。喧嘩なんてしたことなかった。 何でこんなことになったんだっけ・・・・・・? 「・・・・・・着いた。降りて。」 兄貴の声にハッと顔を上げる。 え?ここってーーー・・・・・・。 ら、ラブホ? 何で!?何で、こんなとこ!? だって、俺ーーー・・・・・・抱かれたくなかったって言わなかった? 「ちょ、あ、兄貴ッ、」 「いいから。降りろって。」 こんな状態で来るところじゃねえだろ。 意味わかんないんだけど。 しかも日曜の真っ昼間からだし。 兄貴は俺の困惑なんて全くのお構いなしにスタスタと中へ入る。 そんなにしたいなら今から帰ってセフレの一人でも呼べよ。 そう思うのにこんなところで車の中にいるのも嫌だし、仕方なくついていく。 適当に兄貴が選んだ部屋に入るーーー・・・・・・と、無言のままベッドに押し倒された。 「い、嫌だッ、俺、兄貴に抱かれたくなかったって言ったよな!?」 手首押さえつけられ、上に乗っかられ、身動きができない。 「・・・・・・ッはな、せって。」 何も言わないままじっと見てくる兄貴に対して焦る。 これ以上抱かれたら諦めたくなくなる。 俺以外とこんなことしてほしくない。 できる限りの抵抗をしてみるが、さらに力を込められ、僅かな抵抗すら虚しくなる。 俺が大人しくなったのを見計らったように唇が重なり、閉じている口の中へ舌が入る。 怒ってるのか、焦ってるのか何なのか、俺がほんの少しでも合意してなかったら犯罪レベルだぞという風に犯されていく。

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