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第61話 願った想いは叶った

ーーー透sideーーー 俺は晃が好きだ。 弟だろうが何だろうが関係なく好き。 サラサラな柔らかい髪を撫でながら、お祖母様に電話をかける。 ワンコール、ツーコール・・・・・・。 『透さん。珍しいわね、貴方が掛けてくるなんて。』 「そうですね。今日は改めてお願いがあってかけました。」 『ようやくお見合いでもする気になりました?』 「いいえ。」 お祖父様とお祖母様には育ててもらった恩もあるし、有り難いことに仕事も与えてくれて、両親を幼い頃に亡くした俺たち兄弟が何不自由ない生活を送れているのはこの人たちのおかげだと感謝している。 ただーーー・・・・・・どうしても、男しか恋愛対象にならない俺にとって女性とのお見合い話は苦痛でしかない。 『本当に透さんは頑固よね。誰に似たのかしら?』 「それはお祖母様が一番お分かりではなくて?」 晃が起きるかもしれないからなるべく声を抑え気味に反論。 『まあいいわ。それで何のお話なの?』 「俺、好きな人ができたんです。」 『それは、』 晃を撫でていた手を離し、ぐっと気合を入れるために握った拳に力が入る。 「そういう訳で俺は今後一切結婚も見合いもしません。もし何かのパーティーやらで女性パートナーが必要であれば晃に女装でもさせて連れて行きますんで。これからはそのことに関して一切関わらないで下さい。」 「あ、あ、兄貴!?今、何て?」 あー、聞かれちゃったか。 まずったなーーー・・・・・・。 『透さん?もしかして晃さんと一緒にいるのかしら?晃さんとも話がしたいので代わってもらえる?』 「あ・・・・・・あー、えと、はい。一緒にいます。わかりました。ちょっと待ってて下さい。」 晃にスマホを渡すと、あきらかにテンション下がってる。 あんのババア・・・・・・余計なこと言ってないだろうな。 しばらくすると電話は終わったらしく通話の切れたスマホを晃が無言で手渡す。 「お祖母様、何だって?」 「えっ?あー、何だっけ。」 俺はスマホを受け取りながら晃が何を聞いたのか探りを入れるけど、何だかボッーとしてるような?考え事をしているような? その後、晃が俺に好きな人がいるって知って、自分じゃなくてその好きな人にパートナー役を頼めだの、女性パートナー探せだの言う。 挙げ句の果てにはーーー・・・・・・。 「俺はこんな想いするなら兄貴の退屈しのぎになんてなりたくなかった。男相手に抱かれたくなんてなかった。兄貴に、抱かれたくなんて、なかった。」 はっ?散々抱かれておいて今更かよ。 俺のこと好きなくせにーーー・・・・・・。 俺の好きな人が誰だか考えるまでもないのかよ。 「・・・・・・そうかよ。」 自分でも驚くくらい冷たい声が出た。 無性に腹が立つのと俺が誰を好きなのかわかれよという思いから、全く余裕なんてなかった。 晃が嫌がってるのに止めてやることもできずに、俺が好きなのはお前だって想いだけが募ってかなり無理矢理抱いた。 「・・・・・・はあ、ハァっ、はあ、あきら、好きだ。」 何も考えられなくなった頭で無意識に言葉が出る。 好きだから離れて行かないでーーー・・・・・・。 側にいてーーー・・・・・・。 願った想いはーーー・・・・・・。 「・・・・・・俺も、兄貴のこと、好きだ。」 ーーー・・・・・・叶った。

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