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第67話
え? 何? まさか、照れたの?
よく見ると顔がほんのり赤いーーー・・・・・・。
「・・・・・・可愛いとこあるね。」
「はっ?何?ほら寝ろ!おやすみ。」
「・・・・・・うん、おやすみ。」
ぎゅうっと兄貴に抱きついて心地よい温もりの中、眠りについた。
◇◇◇◇◇◇
『あのね、あのね、ぼくおおきくなったら、にいちゃんよりカッコよくてつよくなるから、そしたら、にいちゃんをまもってあげる!』
『晃は可愛いねえ。楽しみに待ってるよ。でも兄ちゃんも晃を守りたいから、一緒に守り合いっこしような?』
いつも視線を俺に合わせてくれる兄貴が小さい頃からずっと好きで、好きで、好きすぎて堪らなかった。
◇◇◇◇◇◇
懐かしい夢を見た気がするーーー・・・・・・。
隣を見ると夢の中と変わらず大好きな兄ちゃんが静かに寝息を立てている。
ガキの頃は当たり前のようにこういう関係になれると思っていた。
それが大きくなるにつれて、兄弟なんだからなれるはずないと知ってーーー・・・・・・。
それなのにーーー・・・・・・。
「おはよう。なあ、兄貴・・・・・・。」
眠ってる兄貴に抱きついてもう何度も確かめてるぬくもりを確認する。
「・・・・・・ずっと、ガキの頃から好きだよ。」
チュっとちょうど目の前に兄貴の鎖骨が見えたからそっと口付けた。
「晃・・・・・・朝から俺を殺す気?」
頭の上で照れたような声が聴こえる。
「寝てるかと思ってた。」
「お前に抱きつかれて起きたよ。」
「なあ、結局俺のことをいつから好きなの?」
「・・・・・・それ、知りたいの?」
「知りたい。」
「お前は?」
「・・・・・・俺はガキの頃は本気で結婚したいくらい好きで、それからは恋愛感情というよりは兄として好きで、意識したのは高校のとき。自覚したのは旅行中だけど。」
「俺も似たようなもんだよ。自覚したのも旅行中だったし。」
「俺、兄貴は恋愛に興味ないかと思ってた。」
「んなわけねえだろ。まあ、たぶんお前以外とはもう付き合いたいとか思ってなかったのかもしれないけどな。」
「・・・・・・何で、そーいうことサラっと言えるんだよ。」
「何?照れたの?可愛いね。」
「うるせえ。つか、俺帰るんだった。」
抱きしめてた腕を離して、兄貴から離れる。
ベッドの下に散らばっている服に着替えた。
昨日までの荷物を持ち、玄関へ向かう。
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