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第70話

包丁は置いて兄貴の腕を両手で掴むと、こっち向いてと耳元で甘い声が聴こえる。 ゆっくりと振り向くと兄貴が妙な色気を醸し出しながら笑っていて。 「快楽に弱いね。」 「・・・・・・兄貴のせいだっての。」 「ふふ、それじゃ責任取ってやらなきゃな。」 言うと同時に後頭部を引き寄せるように押さえつけ、唇ごと奪われるようなキスをされる。 そんなキスを受けながら少し開いた隙間から生暖かい舌がはいってきて、俺のと絡める。 ホント何でキスだけでこんなに気持ちがいいんだろ。 脳が痺れるような感覚。何も考えられなくなって、兄貴の動きに合わせるのが必死で息する間もないくらいのキス。 身体が密着していて、お互いに反応しているのがわかる。 「なあ、今って何時?まだ時間あるよな?」 兄貴がほんの少しだけ上擦った息を吐きながら聞く。 俺はチラっと腕時計を確認した。いつもより早く来たから、出社までには余裕である。 「・・・・・・うん。まだ大丈夫。」 そう答えると、手早くベルトを外し、スラックスを脱がせていく。 朝っぱらからキッチンでと思うのに与えられる快楽に溺れていく。 「・・・・・・俺のも触って。」 兄貴が俺の手を掴み、自身の下半身へと誘導する。 熱くて、硬いソレをスラックス越しに触れていると、ほんの少しだけ吐息混じった声が聴こえる。 「駄目。直接触って。」 男の服を脱がすなんて初めてで慣れない手つきでベルトを外し、脱がせていく。 それだけで興奮しておかしくなりそうだ。 心臓がバクバクして煩いーーー・・・・・・。 ヌルっとした愛液とドクドクした兄貴のモノを扱いていくけれど、与えられる快感のが大きくてうまくできない。 「そんなんじゃ俺、イケないよ?」 耳元で囁かれるように言われたかと思うと、兄貴のを握っている手を掴まれ、二本同時に握らされる。そしてその上に兄貴の手が重なる。 「こうするんだよ。」 ちょ、これはマズイ・・・・・・互いのでヌルヌルしてるのが増すし、重なる手が熱い・・・・・・。 くちゅくちゅと響く音が、兄貴の漏れる吐息と声が頭の中を貫く。 「・・・・・・ンっ、あ、にき・・・・・・も、イキ、そ・・・・・・あっ、ンッ、」 「俺も・・・・・ッ」 そう言うとキスをされ、二人で果てた。 「はぁ、はぁ・・・・・・手、やべえ・・・・・・。」 二人分の精液でべっとりな手を見てたら、兄貴がそれを掴み口元へ持っていく。 そしてーーー・・・・・・ペロッと舐めた。 えっろーーー。 「何、エロい顔してんの?」 「・・・・・・してねえよ。つか、してるとしたら兄貴のせいだし。」 「俺のせいなの?」 「兄貴が・・・・・・あんなことするから。」 「あんなこと?」 ニヤニヤ笑いながら聞き返す。 絶対にわかってるし、わざとだろ。 「もういいから、早く会社行く用意しねえと・・・・・・。」 これ以上こんな格好で兄貴といたら・・・・・・ヤバイ。

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