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第71話
色々と後処理をしてから、スーツを着る。
朝ごはんの残りを手早く用意し、兄貴に食べさせる。
その間、いつも通り他の家事を済ませる。
「・・・・・・洗濯は間に合わないな。帰ってからでいいか。あーそうだ、帰りに買い物も行かないとな。」
俺が一人でブツブツ言いながら、部屋の中を歩き回ってたからか兄貴がニコニコしながら見ている。
「・・・・・・何? 食べたの?」
「うん、ごちそうさま。いやー、何か・・・・・・結婚には縁無いとずっと思ってたし、興味もなかったけどもしお前が相手ならそれも悪くないな。」
「・・・・・・は?」
バカじゃねえの、バカじゃねえの!? ホント、バカーーー・・・・・・。
そんなの無理に決まってるだろ。
万が一俺たちが兄弟じゃなかったらーーー・・・・・・。
ーーー・・・・・・それも悪くないなって思うけれど。
「もしかして、少しはいいなって思った?」
「は? べ、別に思わねえし。それよりネクタイしろよ。時間ないし。」
「晃がやって。」
ソファに無造作に置かれていたネクタイを俺の前に持ってくる。
これくらい自分でやれよ、と思いつつ数年間て染み付いた世話焼き気質からか受け取って締めていく。
その手元、指先を兄貴が追うように見ている。
見られると緊張するーーー・・・・・・。
若干手が震えつつも何とか結び終わった。
「お前の手って綺麗だよな。指も長いし・・・・・・感度も良いしな。」
「感度もって、何だよ、それ。」
「何って、こーゆうこと?」
兄貴が手を掴み、人差し指を口に含むと舌でなぞっていく。
それだけでゾクっと身体が震える。
「・・・・・・ッ、あにき、やめ・・・・・・、」
「ほら、やっぱり感度いいだろ。ま、そういうところも好きだけどな。」
パッと指を離し、悪戯っ子のように笑う。
その顔ですらドキドキとしてしまう。
「社長。時間ないんだから、行きますよ。」
無理矢理にでも仕事モードに切り替えないと身体が快楽を求めて疼きそうでヤバイ。
自分の性欲の強さに呆れつつ荷物を持って兄貴と一緒に家を出る。
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