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第76話 淋しい②

「大丈夫です。行きますよ。」 「・・・・・・(ぼそ)ホント素直じゃねえな。」 「? 何か言いましたか?」 「何も言ってない。」 社員用の駐車場へ向かい、車に乗る。 車内でもやっぱり無言だし気まずい。 さっき、素直になってたら違ったんだろうか? 「なあ、歓迎会ってどうやって行くの?」 ふと後頭部席にいる社長が口を開く。 チラっとバックミラーを見ると窓の方を向いてドアに頬杖つく姿が目に入る。 まだ外は明るめだけど、表情はよくわからない。 「電車で行きますよ。」 「・・・・・・帰り、どうすんだよ。」 「電車なければタクシーで帰る予定です。」 「・・・・・・ふーん。」 聞いといてその反応かよ!? 昨日までは・・・・・・いや、羽瀬さんが来る前までは笑ってくれたのに、今じゃ笑ってもくれねえし、家だって・・・・・・つき合ってんのに行かせてもくれねえ。 俺がこの一週間どんな気持ちか考えたことあんのかよ。 何で・・・・・・一週間も一人で夜過ごさなきゃならねえんだよ。 兄貴に触れて欲しくてたまんなくて、一人でその痕跡をバカみたいに追ってーーー・・・・・・。 「おい、大丈夫か?」 ハッと気づくと信号が青に代わってて慌ててアクセルを踏む。 道はやや混んでいて家までもう少しかかる。 「あのさ、そこのコンビニ寄って。」 「コンビニ? わかりました。」 言われた通りコンビニの駐車場へ車を停めた。 夕飯? それなら今日は無理矢理にでも家入って作ろうかと思ってたんだけど。 「運転代わる。お前、ボッーとしてて危なっかしい。」 俺が返事をする間もなく車を降りて運転席側へと来る。 そう言われて俺も降りて後ろの席へ乗ろうとドアに手をかけた。 「こっち、座れ。」 「・・・・・・え、あー、うん。」 助手席側に周り車に乗り込む・・・・・・が、この位置気まずい。 兄貴は喋らねえし、俺も何言っていいかわからないし。 普段何話してたっけ? なんてことを考えてしまう。つか、こんなこと俺らの間で考えるとか思ってなかった。 これって普通に兄弟だったら思いもしなかったのかなーーー・・・・・・。

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