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第二章・4
「夜伽を、中止なさるとは。何かあったのですか?」
そう問いかける池崎に、哲哉は玲衣の暗い過去を語った。
「彼は、心に深い傷を負っている」
「そうでしたか」
しかし、と池崎は考えた。
(これまで、何があっても夜伽はその日のうちに済ませられて来た哲哉さまなのに)
泣いた子も、いた。
叫んだ子も、いた。
それでも哲哉は、彼らを抱いた。
『私の所有物をどう扱おうと、私の勝手だ』
冷たい仮面のような表情で、眉ひとつ動かさずに。
(哲哉さまは、玲衣くんを特別に思っていらっしゃるようだな)
その哲哉は、顎に手を添え、考えている風だ。
「彼には、情操を潤すような体験をさせてあげたい」
「かしこまりました」
そういえば、と池崎は白いカンバスの件を哲哉に話した。
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