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第二章・5

「玲衣くんは、あのカンバスがただの白ではないことを、見抜きました。 「ほう?」  純白ではない、カンバス。  かすかに紅のさした白、青味がかった白、黄の入った、白。  それらを言い当てた玲衣を、池崎は報告した。 「彼は、目が良いようです。類まれなセンスを持っているかと」 「そうか。ネットで玲衣を初めて見た後で、彼をイメージして描いたものだったが」  この白に気づくとはな。  哲哉も、感心した様子だった。  そのセンスが本物ならば、伸ばしてあげたいものだ。 「もしかすると、哲哉さまをもしのぐ器かもしれませんよ?」 「だと、面白いな」  愉快そうな返事に、池崎は確信した。 (哲哉さまは、玲衣くんを好いていらっしゃる) 「玲衣くんは、わたくしが看ます。ご安心を」 「頼んでいいか」 「喜んで」  笑顔の池崎だ。  その意味を、哲哉は深くは考えなかった。  そして、部屋から出て行った。

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