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第三章 少しずつ、少しずつ。
医師は玲衣を、自律神経失調症、と診断した。
「環境が変わったことも、要因の一つでしょう」
それから。
「おそらく、発情期も近いはずです。体が変化し始めている、とも考えられます」
大人しく医師の言葉を噛みしめた、玲衣だった。
池崎は医師を玄関まで見送りに出て、寝室には玲衣と哲哉が残された。
「僕、風邪をひいたんだと思っていました」
「私がいきなり、ヌードを要求したりしたからだな」
「え、あ、そういう意味じゃなくって!」
「冗談だ」
哲哉は、優しい言葉を掛けてくれた。
「先にも言ったが、ここは君の家だ。ゆっくり養生して、早く元気になるように」
「はい」
「それから」
そこまで言って、哲哉は口をつぐんだ。
「何でしょうか?」
「いや、何でもない」
玲衣の発情期のことを話題にすることは、ためらわれた。
今は、体調を整えることが先決だ。
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