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第四章 始まり
「玲衣がここに来て、何日になるかな」
「一ヶ月と、三日です」
そんな会話をしながら、哲哉と玲衣はアトリエにいた。
玲衣にとっては、久々のモデルだ。
着衣だが、すこし胸元を開けている。
その白い肌を、哲哉はデッサンしていた。
「どうだ? 屋敷には、慣れたか」
「はい。池崎さんにも、いろいろ教えていただきました」
体重が増え、顔色も良くなった。
発熱することも、なくなった。
だが、今ここで玲衣は体を火照らせていた。
(哲哉さんが、僕を見てる)
じっと見つめてくる、その眼差し。
それを思うと、熱くなる。
溜息を思わずつくと、哲哉は手を止めた。
「疲れたようだな。今日は、ここまでにしよう」
「いいえ。大丈夫です」
「私の命令には、素直に従いなさい」
「……はい」
衣服を整え、玲衣はアトリエから出た。
「僕、もっと哲哉さまと一緒にいたかったのにな」
しかし、自分を気遣ってくれる彼の心は、嬉しい。
そのまま自室へ戻り、玲衣はシャワーを浴びた。
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