22 / 87

第四章・2

「やっぱり少し、疲れたのかな。体が重い」  バスルームから出て髪を乾かしながら、玲衣はそんなことを考えた。  体がだるくて、何だか熱くて。  そして、哲哉のことを考えてしまう。  部屋着のまま寝室へと入り、その身をベッドに投げ出した。  転がって仰向けになり、天井を見る。  もうすっかり馴染んだ、白くて広い天井。  瞼を閉じると、やはり思うのは哲哉のこと。 「僕。僕……」  哲哉を思いながら、玲衣はその手をルームパンツの内側にそろりと忍ばせた。  手に触れたのは、脈打つ体の中心だ。  静かに撫でると、それはゆるりと勃ち上がり始めた。 「哲哉さま」  目を閉じてそうしていると、まるで彼が触れてくれているかのようだ。  自慰は、父が連れて来た客に命じられて、やらされたことがある。  あの時は、嫌でたまらなかったが、今はただ本能がそれを欲している。 「……っは、あぁ。哲哉、さ、ま……」  がくがくと、体が震えた。  震えて、もうすぐで達してしまう、というところで。 「いけない。シーツ汚しちゃう!」  急に現実に引き戻され、火照った体は絶頂を迎えることができなかった。

ともだちにシェアしよう!