23 / 87
第四章・3
お茶の時間ですよ、と玲衣を呼びに部屋へ来た池崎は、彼の異変にすぐ気づいた。
「玲衣くん、どうかした? 体調、どう?」
「え、あの。少し、熱いです」
「熱があるのかなぁ」
さりげなく彼に近づき、確かめる。
そこから発せられるのは、確かにオメガのフェロモンだった。
(体ができたから、性成熟も促されたのか)
体温計で熱を測ってみると、37℃と少し。
「微熱ですね。だから、体が重いのかな」
「うん。微熱は微熱だけど……」
池崎は、玲衣専用のメディカルキャビネットから、発情抑制剤を取り出した。
「これを。すぐに飲んで」
「え!? まさか、僕」
「発情期を迎えたらしい」
池崎は、にっこり笑って手を振った。
「深刻に考えなくて、いいから。君の年齢だと、遅いくらいだ」
(だから僕、さっきエッチな気分になっちゃったんだ)
薬を飲み、椅子に掛けて、玲衣は脚をぶらぶらさせた。
ともだちにシェアしよう!