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第四章・4

「池崎さん。哲哉さまに、このこと伝えた方がいいですか?」 「それは、伝えた方がいいよ。言いにくいなら、僕から話すけど?」 「いえ。それは、僕が自分で話します」  玲衣は、心を決めていた。  発情したら、哲哉に抱いてもらおう、と。  彼の冷たい仮面の下に覗く、優しさ。  それに触れた時から、そうしようと決めていたのだ。  だがしかし。 (どうしよう。やっぱり、恥ずかしいよ!)  二人でティータイムを楽しみながらも、なかなか言い出せない玲衣だ。 「今日のコーヒーは、ブルーマウンテンか」 「はい。爽やかな酸味を、お楽しみください」 「菓子は?」 「北海道産の、クリームチーズケーキでございます」  気が付けば、哲哉は池崎とばかり話している。  そんな玲衣に、助け船が出された。 「今日は、玲衣くんから哲哉さまに報告があるそうです」 「ほう?」  これでは、言い出さずにはいられない。  玲衣はどぎまぎしながらも池崎に心の中で礼を言い、哲哉に告げた。 「僕、発情期が来ました……」 「……」  ぽかん、と何も言わない哲哉だ。  あまりに突然のことで、思考が飛んでいた。

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