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第五章・7

「玲衣くん、大丈夫かい?」 「おはようございます、池崎さん」  昨日より少しだけ眼差しが明るくなった玲衣に、池崎はホッとした。 「その様子を見ると、哲哉さまはお優しかったようだね」 「……はい」  頬を染める玲衣が、可愛い。 「じゃあ、シャワーを浴びて。僕は、朝食の準備を整えるよ」 「ありがとうございます」  部屋に入る玲衣の背中を見ながら、池崎は目を細めた。 「本当に。君は哲哉さまの心に、風を通しに来てくれたんだね」  この分だと、哲哉も上機嫌なのだろう。  季節は梅雨に入ったが、今日は中休みのようだ。  雲の切れ間から、まぶしい光が差している。  あの光が、哲哉の、玲衣の心の中まで届くようにと、池崎は祈った。

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