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第七章・6

「私は、少し恥ずかしい」 「そう、ですよね……」 「だが、君が嬉しいと言うのなら、まんざらでもない」 「ありがとうございます」  車は再び走り出し、玲衣は両手で左右の頬を包んだ。 (嬉しいな。本当に、嬉しい)  哲哉が、ペアルックを認めてくれたのだ。 (まんざらでもない、なんて。哲哉さまらしい言い方だけど)  素直に、私も嬉しい、とは言えない哲哉だ。  そんな彼の性分を、玲衣はすでに知っていた。  車はやがて駐車場に入り、二人は降りて歩き始めた。 「暑いな。日傘を持ってくると良かった」 「哲哉さま、こっちに日陰がありますよ」  やがて、人の多いショッピングモールへ到着。  哲哉の知る書店へ、向かった。 「本など、オンラインで注文して、配達してもらえばいいものを」 「はい。それでも僕、本屋さんが好きなんです」  本屋の持つ、独特の雰囲気。紙とインクの香り。  その居心地が、玲衣は大好きだった。
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